北海道情報大学 私立大学研究ブランディング事業

北海道情報大学 私立大学研究ブランディング事業

  1. AI人材を育成
  2. AI教育に向けた取り組み

私立大学研究ブランディング事業の取り組み

Branding business

2020.01.08
AI人材を育成

AI教育に向けた取り組み

AI教育に向けた取り組み

はじめに

北海道情報大学では、江別市、北海道、公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター(ノーステック財団)、一般社団法人 北海道食産業総合振興機構(フード特区機構)、経済産業省北海道経済産業局といった地域社会を支える様々な団体と連携し、「食と健康」をコンセプトにした地域基盤「江別モデル」を築いてきました。

「江別モデル」では、大目標として“食による住民の健康増進”を掲げており、

1.教育面ではヘルスリテラシーによる住民の健康意識の向上

2.研究面ではヘルスステーションと健康アプリケーションの開発

3.地域貢献では産学官連携によるヘルケア産業の育成

の3つの分野において、本研究ブランディング事業を有効に活用することによって実現することを目指しています。その一環として、本学では、食・健康分野におけるAI人材の教育プログラムの実装することを実現すべく、ブランド力強化につながるAI人材の教育プログラムの設計・コンテンツ開発を行っています。教育のアプローチとしては、社会実装ケースを多数持っているIBM Watson®の機能をベースとして、継続・拡張していくAI人材教育を導入・推進していきます。ここでは、その具体的な活動や内容について紹介します。

 

仕組み

AI人材育成のベースとして採用したIBM Watsonは、個々の機能を持つ複数のAPIから成り立っています(図1)。

図1.IBM Watson API(参考:https://www.ibm.com/watson/jp-ja/what-is-watson.html

複数のAPI機能を組み合わせ、ブランディング事業で目指す食の保健機能研究とAI教育基盤を構築していきます。

具体的な取り組みの一つとして、AIによるChatBotを用いた住民への食を通した健康アドバイス技術(リコメンドシステム)の開発があります。また、本学の学生向け教育への活用を想定して、AIの機能や活用について、基礎から学習できるように配慮したロボット開発の教育プログラムも開発しています。このプログラムでは、米国IBMで開発されたIBM Watsonと連携するロボットTJBot[1]を食と健康をテーマに開発することができます。(図2)。

図2.TJBot (出展元:https://www.research.ibm.com/tjbot/

 

健康や食に関する身近な領域から、学習者が興味を持つテーマを選択あるいは自ら設定し、TJBotを使用した具体的な応答を行うロボットを開発します。初級から上級まで3レベルでプログラムが用意され、初級では講師側で用意したアプリを利用し、シナリオに従ってAIアプリを構築、中級ではシナリオは自ら構築、上級ではアプリ作成からシナリオまですべてを構築できるよう配慮されています。

 

システム構成の一例

教育プログラムで開発するシステムは、AI機能として主にWatson Assistant機能を活用し、さらにWatson Discoveryの自然言語による文書探索機能を導入することで多様な応答を実現します。これらの仕組みは、IBM Cloud上で実装・機能します(図3)。

https://www.research.ibm.com/tjbot/

図3.リコメンドシステムの概要

 

システムが実現する応答シナリオとして、例えば、利用者からの食材の機能性に関する質問に答えるAI機能を備えさせ、食材の選択により、その人の関心事に合ったアドバイスを提供します。今回はまず、初球から中級レベルについて、教育プログラムの開発に取り組んでいます。

初級のテーマとして、高齢者の膝の痛みについてサンプルとなるシナリオを提供し、悩みの原因、効果ある栄養素・食材をテーマに食べ方、対象の食材、食材名についてアドバイスする会話ができるよう仕組みを設けています。

 

今後の取り組み

私立大学研究ブランディング事業は、「食の保健機能研究を基盤にした健康情報と情報通信技術の融合による健康長寿社会の創生を行う大学」をテーマに、3年間の研究活動を続けています。導入したAI人材育成のプログラムや教材は、初級レベルのChatBot作成から入って、一連のAIの仕組みの一端を体感することができ、AIについて学ぶ良い契機になると考えます。また、この取り組みは、他の健康アプリと組み合わせることにより、一層効率的に利用価値が高まるものと期待されます。取り組みにおいて使用されているTJBotは、大学教育に限らず住民を対象にした地域における啓発や教育研究活動にも有用であると考えています。

今後、高等教育機関として、地域の抱える課題に取り組むために具体的な方策を立て、AI人材育成がどのように地域・社会に貢献していくかなどの観点から地域行政(江別市、北海道)とも連携し、教育プログラムとしての「江別モデル」の取り組みを道内外へと展開していく計画を有しています。